この記事を監修した人
著者|おもちゃコンシェルジュ
監修|福井 美和子(看護師・保健師)
データ解説|太宰 潮(福岡大学 商学部 教授)

発達障害のあるお子さんのこだわり行動は、否定するより「入口」として活かすことで、遊びの幅が広がっていきます。

「また並べてる…どうしたらいいの?」と悩んでいる保護者の方は、約7割が同じ悩みを抱えています(キッズ・ラボラトリー利用者アンケートより)。

こだわりの種類ごとの見方、関わり方のコツ、そして遊びへのつなげ方まで、おもちゃコンシェルジュの視点からやさしく解説します。

この記事でわかること

・「並べる・回す・繰り返す」こだわり行動の種類と背景
・こだわりを否定しない関わり方の具体的なポイント
・こだわりを遊びに発展させるおもちゃの選び方と使い方
・キッズ・ラボラトリー利用者の実際の声と失敗談

こだわり行動の種類|「並べる・回す・繰り返す」には意味がある

こだわり行動には大きく3つのパターンがあり、それぞれに子どもなりの理由があります。

おもちゃコンシェルジュとして日々選定をしていると、「うちの子はミニカーを一列に並べるだけで遊ばない」「コマを回し続けるのが好きで他のおもちゃに興味を示さない」というご相談を月に10件以上いただきます。

まずはそれぞれの行動が何を意味しているのかを整理しておきましょう。

①並べる|秩序と安心感を求めている

ミニカー・ブロック・フィギュアなどを一定のルールで並べる行動は、自分の世界に秩序を作ることで安心感を得ているサインです。

色・大きさ・種類など、子どもなりの分類基準があることが多く、「ただ並べているだけ」に見えても、頭の中では高度な整理作業が行われています。

2歳前後から始まることが多く、3歳〜5歳にかけてより精緻になっていく傾向があります。

②回す|感覚刺激を楽しんでいる

タイヤ・コマ・円形のおもちゃを延々と回し続ける行動は、視覚や固有覚(体の動きを感じる感覚)への刺激を求めていることが背景にあります。

回転する物体の動きは予測可能で、同じ結果が繰り返されるため、変化が苦手な子どもにとって特に心地よい刺激になります。

③繰り返す|同じ体験で安心する

同じ動作・同じ順番・同じ遊び方を繰り返す行動は、「次に何が起こるか分かる」という予測可能性が安心につながっているためです。

発達障害のある子どもは、未知の変化に強い不安を感じやすい特性があります。繰り返しの行動は、その不安を和らげるための自己調整手段とも言えます。

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DATA INSIGHT|データ解説
太宰 潮
福岡大学 商学部 教授

キッズ・ラボラトリーの継続利用データを拝見しますと、こだわりが強いと申告されたご家庭の約6割が「最初の1〜2回の交換でおもちゃへの反応が薄かった」とお答えになっています。一方で、3回目以降の交換で特定カテゴリ(ボール転がし・組み立て系)に絞り込んでいかれたご家庭では、満足度が大きく改善する傾向が見られます。こだわりの強いお子さまほど、ご家庭で少しずつ試しながら好みを見つけていく時間が、ぴったりの1本との出会いにつながっているのではないでしょうか。

こだわり行動の種類と背景|比較表

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くもんのジグソーパズル STEPシリーズ

くもんのジグソーパズル STEPシリーズ

モンテッソーリ ビジーボード

モンテッソーリ ビジーボード

Hape ファースト パウンダー

Hape ファースト パウンダー

ひも通しおもちゃ

ひも通しおもちゃ

Gakkenニューブロック ひらめき!工具

Gakkenニューブロック ひらめき!工具

行動パターン 主な背景 よく見られる時期 関わりのヒント
並べる 秩序・安心感の確保 2歳〜5歳 並べ方のルールを一緒に観察する
回す 感覚刺激の調整 1歳半〜4歳 回転系おもちゃで安全に満たす
繰り返す 予測可能性による安心 2歳〜6歳 同じ手順を一緒に楽しむ

こだわりを否定しない関わり方|まず「見る」ことから始める

こだわり行動をやめさせようとすると、不安が強まり逆効果になりやすいです。

キッズ・ラボラトリーの利用者アンケートでは、「こだわりが強くて何に興味を示すか難しい」という声が複数寄せられています。一方で「いろいろ試してみることで好きなものを発見したい」と前向きに捉えている保護者の方も多く、関わり方の姿勢が大きく結果を左右しています。

看護師・保健師の視点からも、こだわり行動は脳の発達特性に基づくものであり、保護者の育て方が原因ではありません。まず「なぜそうするのか」を観察することが、関わりの第一歩として大切です。

ポイント①|子どもの視点に立って「観察」する

フィギュアを並べ続ける子どもの横に座り、同じ目線・同じ高さで何を見ているかを確認するだけで、行動の意味が見えてくることがあります。

「なぜ並べるの?」と問い詰めるのではなく、「どんな順番で並べているんだろう?」と興味を持って観察する姿勢が、信頼関係の土台になります。

ポイント②|こだわりを「中断」させない

こだわり行動の途中で「もうやめなさい」「別のことをしよう」と切り上げさせると、子どもは強い不安やパニックを感じやすくなります。

生活に支障が出る場合(食事・睡眠・外出の妨げになるなど)は段階的な移行を検討する必要がありますが、遊びの中でのこだわりはまず「完結させてあげる」ことを優先してみてください。

なお、こだわりの強さや頻度が日常生活に大きく影響している場合は、かかりつけの医療機関や発達支援の専門家に相談することをおすすめします。個人差が大きい領域ですので、専門的なアドバイスを受けながら関わり方を調整していくと安心です。

ポイント③|「一緒にやってみる」で関係を作る

子どもが並べているおもちゃを、隣で同じように並べてみる。回しているコマを一緒に回してみる。

こうした「模倣から入る関わり」は、子どもに「この人は自分の世界を理解してくれる」という安心感を与え、その後の遊びの広がりへの橋渡しになります。

実際に選定の現場でも、「親が一緒に遊んであげるとレンタルのおもちゃにも触れるようになった」という声をよくいただきます。

キッズ・ラボラトリーの利用者の方から「こだわりが強く、玉転がし以外は何度試しても『イヤー!』と言って一度も遊んでくれなかった」という声をいただいたことがあります。こうしたケースでは、まず「玉転がし」という好みを軸に、似た動きのあるおもちゃ(スロープ・ボール転がし系)から少しずつ広げていく方法が有効です。いきなり全く違うジャンルに切り替えるのではなく、「好きな動き」を起点にするのがポイントです。

こだわりを遊びに発展させる|おもちゃ選びの3ステップ

こだわりの「動き」や「感覚」に近いおもちゃを選ぶことが、遊びを広げる最初の一手です。

おもちゃコンシェルジュとして実際に選定していると、「こだわりが強い子ほど、ぴったりはまるおもちゃを見つけたときの集中力が際立つ」と感じます。逆に、こだわりと全く関係のないおもちゃを渡しても、反応が薄いことが多いです。

Step1|こだわりの「核」を言語化する

まず、お子さんのこだわりを以下の視点で整理してみてください。

  • 何を使って(ミニカー・ブロック・コマ…)
  • どんな動きを(並べる・回す・落とす・積む…)
  • どのくらいの時間(5分以内で飽きる / 30分以上集中する)

この3点を整理するだけで、「次に試すべきおもちゃ」の方向性がかなり絞れます。

Step2|「同じ動き」ができるおもちゃを1つ加える

並べることが好きな子には「並べる要素があるパズルや積み木」、回すことが好きな子には「コマ・ギア・スロープ系」、繰り返しが好きな子には「手順が決まっている組み立て系」が入口として有力です。

キッズ・ラボラトリーの利用者データでは、ボール転がし系(スロープ・くみくみスロープ)は繰り返し系こだわりのある子に特に高い継続利用率が見られます。「くみくみスロープは楽しく遊んでいました」という声も複数届いています。

Step3|「少しだけ違う」要素を足して広げる

同じ動きができるおもちゃに慣れてきたら、少しだけ違う要素を加えます。

  • 並べる → 並べた後に「積む」動作が加わるブロック系へ
  • 回す → 回転しながら「落ちる」スロープ系へ
  • 繰り返す → 手順が増える「組み立て・工具系」へ

「こだわりが強く、なかなか遊び方のルールに従って遊ぶことを好まない中、恐竜を組み立てるおもちゃは手順を踏んで組み立てなければできないことが分かってきたみたいで、面白がっていました」という利用者の声は、このステップの典型例です。

いきなり「社会性を育む」「コミュニケーション系」に飛ばすのではなく、こだわりの延長線上に次の遊びを置くことが、無理のない発展につながります。

「おもちゃそのもので遊ぶというより、家のおもちゃと組み合わせて何かを創造するのが好きなようで、創造力は爆発しています」という声もいただいています。こだわりが強い子ほど、おもちゃを「決まった使い方」ではなく「自分のルール」で使いこなす力を持っていることがあります。その創造性を否定せず、素材として使えるおもちゃ(ブロック・パーツ系)を渡すことで、こだわりが豊かな遊びへと発展していきます。

こだわりのある子に向くおもちゃ比較一覧

以下は、こだわり行動のある子どもに実際に選定実績のある5商品です。「同じ動きを繰り返せる」「手順が明確」「集中力が続く」という観点で選んでいます。

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商品名 メーカー 対象年齢 特徴 参考価格
くもんのジグソーパズル STEPシリーズ くもん出版 2歳頃〜 集中力・作業力育成 2,000円前後
モンテッソーリ ビジーボード 複数メーカー 1歳〜6歳 指先知育、生活習慣 3,000円前後
Hape ファースト パウンダー Hape(ハペ) 1歳頃〜 叩く動作で集中力 3,000円前後
ひも通しおもちゃ 複数メーカー 2歳頃〜 指先訓練、集中力 2,000円前後
Gakkenニューブロック ひらめき!工具 学研ステイフル 3歳頃〜 工具遊びで協応作業 6,000円前後

迷ったときの選び方の目安はこちらです。

  • 並べる系こだわりが強い → くもんのジグソーパズル STEPシリーズ(ピースを順番に置く達成感)
  • 手先を動かすことが好き → モンテッソーリ ビジーボードまたはひも通しおもちゃ
  • 叩く・繰り返す動作が好き → Hape ファースト パウンダー
  • 3歳以上で組み立てに興味が出てきた → Gakkenニューブロック ひらめき!工具が有力

こだわりのある子のおもちゃ選び|向き不向きの整理

おもちゃの「渡し方」と「家庭の状況」によって、合う選択肢は変わります。購入・サブスク・おさがりそれぞれの向き不向きを整理しました。

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家庭の状況 相性 おすすめの方法
何が合うか分からず試行錯誤中 サブスク(返却できるので試しやすい)
特定のおもちゃに強くはまっている 購入(長期使用するなら所有が合理的)
月齢が進むにつれて好みが変わりやすい サブスク(交換で発達に合わせやすい)
おもちゃを壊しやすい・なくしやすい サブスクは保証内容を確認してから検討
おさがりや手持ちで十分遊べている おさがり継続(無理に新しいものを増やさない)

失敗から学ぶ|こだわりのある子のおもちゃ選びでよくある後悔

こだわりのある子へのおもちゃ選びで最も多い後悔は「合わないものを一度に複数渡しすぎた」というパターンです。

キッズ・ラボラトリーの利用者アンケートでは、こだわりが強いお子さんを持つ保護者の方から「全部交換したい」という声が約4割を占めており、一度に複数のおもちゃを試すことで「どれも合わなかった」という結果になりやすい傾向が見られます。

「発達障害の指摘を受けました。パズルに興味が向かず、パズルは外してください。学研のくみくみスロープ・ニューブロックがあればお借りしたいです。ボール転がし系が好きです」という声をいただいたことがあります。こうしたケースでは、最初から「好きな動き」を明確に伝えていただくことで、次回の選定精度が大きく上がります。おもちゃコンシェルジュへのリクエストは、「〇〇が好き」「〇〇は合わなかった」という具体的な情報が多いほど、ぴったりの1本に近づきます。

また、「子供が色々とこだわりが強く、なかなか最近合うおもちゃに当たらなくなってきてしまい、つくづく難しいなと感じています」という声もあります。こだわりの内容は月齢とともに変化するため、半年前に合っていたおもちゃが今は合わなくなることも自然なことです。

キッズ・ラボラトリーの継続利用データでは、こだわりのある子どもを持つ家庭の多くが、3回以上の交換を経て「ぴったりの1本」に出会っている傾向があります。1〜2回で合わなくても、試行錯誤を続けることが大切です。

こだわりのある子のおもちゃ選びでよくある質問

Q1. こだわり行動はいつ頃から始まり、いつまで続く?

2歳前後から目立ち始め、3歳〜5歳にかけてピークを迎えることが多いです。発達の特性によって個人差が大きく、小学校入学後も続く場合もありますが、関わり方や環境の工夫によって遊びの幅が広がっていくことがあります。「いつまでに直さなければ」と焦らなくて大丈夫です。気になる場合は、かかりつけ医や発達支援の専門家に相談してみてください。

Q2. こだわり行動をやめさせた方がいい?

生活に大きな支障が出ている場合(食事・睡眠・外出が困難になるなど)は、専門家と相談しながら段階的な対応を検討するのが安心です。遊びの中でのこだわりは、無理にやめさせるより「完結させてから次へ」という流れを作る方が、子どもの安心感を保ちながら遊びを広げやすくなります。

Q3. こだわりのある子に最初に渡すおもちゃ、迷ったら何を選べばいい?

最初の1本として有力なのは、「繰り返し同じ動作ができる」シンプルなおもちゃです。ボール転がし系(くみくみスロープなど)やひも通し系は、繰り返しの動作を安全に満たしながら集中力を育てやすく、こだわりのある子どもに継続して使われる傾向があります。並べる系こだわりが強い場合はパズル系、組み立て好きには工具・ブロック系も視野に入れてみてください。

こだわりのあるお子さんに、何を渡せばいいか迷っていませんか?

お子さんの好きな動き・反応したもの・合わなかったものをヒアリングして、おもちゃコンシェルジュが次の1本を選定します。

返却・交換できるから、合わなくても試行錯誤しやすい仕組みです。

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ABOUT ME
おもちゃコンシェルジュ
おもちゃコンシェルジュは、キッズ・ラボラトリーにて実際におもちゃ選定を担当する専門スタッフ。日々、利用者一人ひとりの月齢・発達段階・興味関心に応じて、おもちゃの選定と提案を行っている。選定にあたっては、これまでの提供実績や利用者データ、実際のフィードバックをもとに、「どのおもちゃがどのタイミングでよく使われるか」「どのような反応が見られるか」といった実利用ベースの情報を蓄積・活用。主観的なおすすめではなく、現場での選定経験とユーザーの声に基づき、「実際に使われるおもちゃ」という視点から、再現性のある情報発信を行っている。
この記事を監修した人
著者|おもちゃコンシェルジュ(キッズ・ラボラトリー)

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