おもちゃを与えすぎると何が起きる?年齢別の見直し方【保育士監修】
この記事を監修した人石渡 恵美・福井 美和子・太宰 潮・青栁 陽介詳しく
おもちゃを買い与えるたびに「多すぎるのかな」と気になる、という保護者の方は少なくありません。
所有数が多いこと自体より、一度に目の前に出す数が多くて選びにくい・散乱しやすい状態が、遊びの質に影響しやすいと考えられています。所有数だけで良し悪しを決めなくて大丈夫です。
この記事では、研究で実際に確かめられたこと・確かめられていないことを正確に示したうえで、子どもの様子から一度に出す数を変える判断の仕方を説明します。年齢別の固定個数の「正解」ではなく、安全と選びやすさの観点で考える方法です。
この記事でわかること
- 所有数と一度に出す数(提示数)の違い、どちらを見直すべきか
- Dauchら2018年研究で確かめられたこと・確かめられていないこと
- 見直すサイン(散乱・選べない・片付け負担)と、そのまま続けてよい場合
- 年齢別に変わる安全と選びやすさの条件を判断する材料
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おもちゃが多いと本当に影響があるの?所有数と提示数を分けて考える
おもちゃの量が多いこと自体より、一度に目の前に出す数が多くて選びにくい・散乱しやすい状態が遊びの質に影響しやすいと考えられています。所有数だけで良し悪しを決めなくて大丈夫です。
「与えすぎ」という言葉は、2つの異なる状態を混同しがちです。ひとつは所有数(家にあるおもちゃの総量)、もうひとつは提示数(一度に子どもの目の前に出している数)。
この2つは別の問題です。押し入れに50個しまってあっても、目の前に3個だけ出しているなら、子どもが選びにくい状態にはなりません。逆に、所有数が20個でも全部床に広げていれば、どれで遊ぶか決めにくくなります。
見直すべきは、多くの場合「提示数」のほうです。所有数を数えて焦る前に、今どれだけ目の前に出しているかを確認してみてください。
モンテッソーリ教育の考え方では、子どもが自分で選び、満足するまで遊ぶ繰り返しが集中力を育てるとされています。選択肢が多すぎると、この「満足するまで遊ぶ」体験が生まれにくくなります。5歳までの子どもには「どっちにする?」という二者択一が適切とされており、選択肢を絞ることが自己決定力の練習になると考えられています。
おもちゃの交換対応では、「量が多すぎる」より「難易度や種類が今の発達段階に合っていない」という状況が見られることがあります。量の問題と種類・難易度の問題は分けて考えると、対処しやすくなります。
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「4個と16個」の研究で実際に確かめられたこと・確かめられていないこと
トレド大学のDauchらが2018年に行った研究は、幼児36人を対象に監督下の個別自由遊びで4個と16個を比較したものです。家庭の所有総数や長期の集中力・性格への影響を確定した研究ではありません。
この研究(DOI: 10.1016/j.infbeh.2017.11.005)では、おもちゃが4個の環境では16個の環境より長く・深く遊ぶ傾向が観察されました。ただし、これは以下の条件での観察結果です。
- 対象は幼児36人(小規模な研究)
- 研究者が監督する個別の自由遊び場面(家庭の日常とは異なる)
- 観察したのは1回の遊びセッション(長期的な発達への影響ではない)
- 比較したのは「一度に目の前に出した数」(家庭の所有総数ではない)
つまりこの研究から言えるのは、「一度に目の前に出す数が少ないほど、1つのおもちゃに向き合いやすい傾向がある」という限定的な観察結果です。
「おもちゃをたくさん持っていると集中力が育たない」「わがままになる」「自己肯定感が下がる」といった長期的な影響は、この研究では確かめられていません。所有数が多いだけで子どもに悪影響が出ると断定できる根拠は、現時点では確認されていません。
子どもの様子から見直すサイン、散乱・選べない・片付け負担
見直すサインは「足元に散乱して選べない」「片付けが毎回大変」「子どもが何も選ばずうろうろする」状態です。本人が少数のお気に入りを繰り返し楽しんでいるなら、量が多くても見直す急ぎはありません。
次の表で、自分の家庭がどちらの状態に近いか確認してみてください。
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迷ったら、まず「本人が繰り返し楽しんでいるおもちゃがあるか」を確認してください。あるなら、それは減らす対象から外して大丈夫です。散乱しているが使っていないものだけを一時的に別の場所に移す、という変え方が負担の少ない第一歩です。
一度に出す数を変えるだけでいい場面と、そのまま続けていい場面
一度に出す数を少し減らすだけで選びやすくなる場面があります。本人が繰り返し楽しんでいるおもちゃは休ませる対象から外し、散乱しているが使っていないものだけを一時的に移す方法が負担が少ないです。
具体的には、次の手順が取り組みやすいです。
- Step1. 今あるおもちゃを全部出して「よく遊ぶ・たまに遊ぶ・ほとんど遊ばない」の3グループに分ける
- Step2. 棚に出すのは「よく遊ぶ」グループだけにする(子どもの目に入る量を絞る)
- Step3. 2ヶ月に1回、「たまに遊ぶ」グループと入れ替える(しまっていたものが新鮮に感じられる)
- Step4. 新しいおもちゃを迎えたら1つ別の場所へ移す(量が増えすぎない仕組みを作る)
「よく遊ぶ」グループに入っているおもちゃは、減らす必要はありません。本人が繰り返し楽しんでいるなら、それは今の発達段階に合っているサインです。
一方、そのまま続けてよい場合もあります。子どもが自分で選んで遊べている、片付けも自分でできている、という状態なら、所有数が多くても急いで変える必要はありません。
量の管理と並行して、「今の子どもに合っているか」を定期的に見直すことが、遊びの質を保つうえで役立ちます。
年齢別に変わるのは個数の正解ではなく、安全と選びやすさの条件
年齢別に変わるのは固定の個数ではなく、誤飲リスクや部品の大きさなど安全の条件と、子どもが自分で選べる見せ方の条件です。0歳台は誤飲サイズの確認が最優先で、2歳以降は自分で取り出せる高さと数が選びやすさに影響します。
以下の表は「個数の正解」ではなく、各年齢で特に気をつけたい安全と選びやすさの目安です。
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0歳台で特に気をつけたいのは、誤飲リスクです。部品の大きさの確認が最優先です。誤飲リスクに関する基準はメーカー取扱説明書および消費者庁・日本小児科学会等の公的機関の情報を必ず確認してください。
2歳以降は、子どもが自分で取り出せる高さと数が選びやすさに直結します。棚に並べたとき子ども自身が全部把握できる量が、その家庭にとっての「適切な提示数」の目安になります。
この点は「0歳のうちにやっておけばよかったこと|月齢別の優先順位と知育・おもちゃ選び」でくわしく説明しています。
乳児(0歳〜1歳前後)の一度に出す数の詳しい考え方については、乳児のおもちゃの適量で詳しく説明しています。
祖父母・兄弟がいる家庭でよく出る疑問
祖父母からの贈り物をすべて減らす必要はありません。受け取った後に一部を休ませる・使う場所を決めるといった対応で調整できます。
祖父母からのおもちゃが増えすぎるとき
贈り物を断ることより、受け取ったあとの管理を工夫するほうが現実的です。受け取ったおもちゃは一度全部出して、今の発達段階に合うものだけ棚に出し、残りは別の場所にしまっておく。2〜3ヶ月後に入れ替えると、子どもには「新しいおもちゃ」のように感じられます。
祖父母への対応の詳細(どう伝えるか・何をお願いするか)は本記事の範囲外です。おねだりへの対応や購入頻度の調整については、別途検討してみてください。
兄弟がいる家庭での管理
兄弟がいる場合、共有できるものと個別のものを分けて考えると管理しやすくなります。特に注意したいのは、上の子のおもちゃに小部品が含まれる場合です。下の子が口に入れられるサイズの部品は、遊ぶ場所と時間を分けるか、使用後は手の届かない場所に片付ける習慣が必要です。
この点は「上の子のおもちゃを赤ちゃんが誤飲しそう…レゴ・ビーズを安全に分ける方法」でくわしく説明しています。
年の差がある兄弟でのおもちゃ選びの詳細は、年の差兄弟で遊べるおもちゃで詳しく説明しています。
おもちゃの選び方|購入・サブスク・おさがりの向き不向き
おもちゃの量を増やさずに多様な体験をさせたい場合、入手方法そのものを見直すことも有効です。購入・サブスク・おさがりにはそれぞれ異なる特性があります。
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まず試してから決める方法もあります
◎向いている ○まずまず合う △状況によっては合いづらい
「おもちゃが増えすぎて困っている」場合、サブスクは返却できるため手元の量が増えにくいという特性があります。ただし、外遊び中心で室内おもちゃの出番が少ない家庭では、使う時間が少なくなりがちで、サービスとの相性が下がることがあります。
「いろんなおもちゃを体験させてあげたい」という動機でサブスクを始める家庭は一定数います。量を増やさずに多様な体験をさせたい場合は、サブスクで定期的に入れ替える方法が合いやすい傾向があります。
キッズ・ラボラトリーでの実際の例は「夕食準備中の一人遊び|1歳・2歳・3歳が安全に待てるおもちゃと見守り方」で紹介しています。
手元の数を増やさずに発達段階に合うおもちゃを届けたいときは、キッズ・ラボラトリーのおもちゃサブスクのように、プロが個別に選定して届ける仕組みも選択肢のひとつです。おまかせ・リクエスト・取り扱いおもちゃ検索からの指名の3通りを組み合わせられるため、「選ぶ手間を減らしながら、今の発達段階に合うものを試したい」という家庭に合いやすいです。最新の料金・条件は公式サイトでご確認ください。
学術協力
この記事で紹介した利用データの読み解きは、消費者行動・サブスクリプション研究を専門とする福岡大学商学部の太宰潮教授に学術協力をいただいています。
おもちゃの量でよくある質問
一度に目の前に出す数が多くて選びにくい状態が、遊びの集中に影響しやすいという観察結果があります。ただし、所有数が多いだけで長期的な集中力が低下するという研究は確認されていません。トレド大学のDauchら(2018年)の研究は幼児36人を対象にした限定的な条件での観察で、家庭の所有総数や長期の発達への影響を確定したものではありません。所有数を数えて焦るより、一度に出す数を子どもが選びやすい量に絞ってみることが現実的な第一歩です。
おもちゃの所有数とわがままになるかどうかを直接結びつけた根拠は確認されていません。「欲しいと言えば手に入る」という経験が積み重なることへの懸念は理解できますが、おもちゃの数だけで性格や自己肯定感が決まるわけではありません。購入のタイミングをあらかじめ決めておく(誕生日・クリスマスなど)ことで、「待つ」体験を自然に作ることができます。
今からでも変えられます。まず全部出して「よく遊ぶ・たまに遊ぶ・ほとんど遊ばない」の3グループに分け、棚に出すのは「よく遊ぶ」グループだけにしてみてください。本人が繰り返し楽しんでいるおもちゃは減らす対象から外して大丈夫です。散乱しているが使っていないものだけを一時的に別の場所に移す、という変え方が負担の少ない始め方です。
固定の正解個数はありません。年齢によって変わるのは、誤飲リスクや部品の大きさなど安全の条件と、子どもが自分で選べる見せ方の条件です。0歳台は誤飲サイズの確認が最優先で、2歳以降は子どもが自分で取り出せる高さと数が選びやすさに影響します。「棚に並べたとき子ども自身が全部把握できる量」が、その家庭にとっての目安になります。
あります。本人が少数のお気に入りを繰り返し楽しんでいる、子どもが自分で選んで遊べている、片付けも自分でできている、という状態なら、所有数が多くても急いで変える必要はありません。見直すサインは「散乱して選べない」「片付けが毎回大変」「何も選ばずうろうろする」状態です。これらが当てはまらないなら、そのまま続けて大丈夫です。
参考文献
参加できます
