この記事を監修した人
医療監修|福井 美和子(看護師・保健師)
幼児教育監修|石渡恵美(幼稚園教諭)
学術協力|太宰 潮(福岡大学 商学部 教授)
おもちゃ選定|青栁 陽介

発達障害のある子がごっこ遊びを難しいと感じるのは、特性が関係しているからです。

「うちの子だけかも」と感じているご家庭は少なくありませんが、焦らなくて大丈夫です。

なぜ難しいのか、どんな順番でサポートすればいいのか、親としてどう関わればいいのかを、おもちゃコンシェルジュの視点からやさしく整理していきます。

この記事でわかること
  • 発達障害のある子がごっこ遊びを難しいと感じる背景(想像力・社会性の観
  • ふり遊び→見立て遊び→役割遊びへの段階的なステップ設計を判断する材料
  • 親がすぐ実践できる具体的な関わり方と、おもちゃ選びのポイント
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発達障害のある子がごっこ遊びを難しいと感じる理由

ごっこ遊びが難しい背景には、「想像力の使い方」と「他者」と世界を共有する力」の2つが関係しています。

おもちゃコンシェルジュとして日々の選定相談を受けていると、「3歳になってもおままご」とに興味を示さない」「ひ」とり遊びばかりで心配」という声が特に多く寄せられます。

こうした相談の多くに共通するのが、発達障害(とくに自閉スペクトラム症・ASD)の特性との関係です。

想像力の「使い方」が定型発達と異なる

ごっこ遊びには「ものを別のものに見立てる力」が必要です。積み木を食べ物に見立てたり、タオルをマントに見立てたりする「見立て遊び」がその入口になります。

ASDのある子どもは、想像力がないのではなく、想像力の表現方法が定型発達とは異なることが研究でも示されています。

たとえば、おもちゃを一列に並べることに夢中な子どもも、本人の中には「みんなが仲良く並んでいる」というストーリーがある場合があります。外から見ると「ただ並べているだけ」に見えても、内側には豊かな世界が広がっているのです。

ただし、その世界を他者と共有したり、言葉や動作で表現したりする部分に難しさが出やすいのが特徴です。

他者と「遊びの世界」を共有する力が育ちにくい

ごっこ遊びが複雑化するのはおおむね4歳前後で、「役割を決めて複数人で遊ぶ」段階に入ります。

この段階では、相手の意図を読む力・暗黙のルールを理解する力・自分の役割を演じる力が同時に求められます。

ASDの特性として「他者の視点に立つこ」とが難しい」「非言語コミュニケーションの読み取りが苦手」という点があるため、この複合的なやりとりが一気にハードルになります。

「ごっこ遊びができない」というより、「今の発達段階に合った遊び方がある」と捉え直すことが、サポートの第一歩です。

常同的な行動を好む傾向がある

同じ動作を繰り返す「常同行動」は、ASDのある子どもにとって感覚的な安心感や心地よさをもたらします。

ミニカーを前後に動かし続ける、積み木を同じ形に積み直す、といった行動は「遊びの発展がない」ように見えることがありますが、その子にとっては意味のある活動です。

この傾向を否定せず、そこから少しずつ遊びを広げていくアプローチが有効です。

ごっこ遊びを段階的に育てる4つのステップ

「いきなりおままご」と」ではなく、ふり遊び→見立て遊び→ごっこ遊び→役割遊びの順番で積み上げるのが最も無理のない方法です。

キッズ・ラボラトリーの利用者アンケートでは、3歳前後のごっこ遊び・おままごとカテゴリへのリクエストが727件と最も多く、次いで2歳後半(460件)、2歳前半(443件)と続きます。

この数字が示すのは、2歳台からごっこ遊びへの関心が高まり始め、3歳が最も需要のピークになるということです。発達障害のある子どもの場合、この時期に「うまくいかない」と感じるご家庭が増えやすい傾向があります。

📊
DATA INSIGHT|データ解説
太宰 潮
福岡大学 商学部 教授

太宰教授は、利用者の声や月齢ごとの変化を見ながら、お子さまに合う遊びを無理なく選ぶことが大切だと話しています。

Step4|4歳以降「役割遊び」へ少しずつ広げる

役割を決めて複数人で遊ぶ段階は、4歳以降が目安です。ただし発達障害のある子どもの場合、この段階への移行には個人差があります。

「まだできない」ではなく「今はStep3の段階」と捉え、焦らず見守ることが大切です。

発達障害のある子に向くごっこ遊びおもちゃ比較一覧

以下は、ごっこ遊びの導入・発展に役立つおもちゃの比較です。子どもの発達段階や興味に合わせて選ぶ際の参考にしてください。

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ゴ デュプロ デュプロのコンテナ スーパーデラック

レゴ デュプロ デュプロのコンテナ スーパーデラックス

プラレール 10のレイアウトがつくれる!ベーシックレールセット

プラレール 10のレイアウトがつくれる!ベーシックレールセット

アンパンマン おしゃべりいっぱい!ことばずかんSuperDX

アンパンマン おしゃべりいっぱい!ことばずかんSuperDX

マグ・フォーマー ベーシックセット 62ピース

マグ・フォーマー ベーシックセット 62ピース

エド・インター 木のままごとあそび 夢のフルーツタルト

エド・インター 木のままごとあそび 夢のフルーツタルト

商品名 メーカー 対象年齢 特徴 参考価格
レゴ デュプロ デュプロのコンテナ スーパーデラックス レゴ 1.5歳〜 創造力と構成力 7,000円前後
プラレール 10のレイアウトがつくれる!ベーシックレールセット タカラトミー 3歳〜 構造化された遊び 3,000円前後
アンパンマン おしゃべりいっぱい!ことばずかんSuperDX セガトイズ 3歳〜 言葉と物の認識 7,000円前後
マグ・フォーマー ベーシックセット 62ピース ボーネルンド 3歳〜 空間認識と創造性 15,000円前後
エド・インター 木のままごとあそび 夢のフルーツタルト エド・インター 3歳〜 具体的な役割遊び 5,000円前後

ごっこ遊びの入口として最初に検討したいのはエド・インター 木のままごとあそび 夢のフルーツタルトです。具体的な食材の形が揃っているため、「これは何?」という会話が自然に生まれやすく、見立て遊びからごっこ遊びへの橋渡しに向いています。

  • 見立て遊びの入口を作りたい → エド・インター 木のままごとあそび 夢のフルーツタルト(3歳〜・具体的な形で理解しやすい)
  • 電車・乗り物が好きな子 → プラレール ベーシックレールセット(3歳〜・構造化された遊びで安心感あり)
  • ブロックで世界を作るのが好きな子 → レゴ デュプロ(1.5歳〜・自由度が高く見立て遊びに発展しやすい)
  • 言葉の発達も一緒に促したい → アンパンマン ことばずかんSuperDX(3歳〜・物と言葉の対応が学べる)
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親の関わり方|今日からできる具体的なサポート

親がお手本を見せることが、ごっこ遊びへの最も自然な入口になります。

「遊ばせよう」と意気込むより、親自身が楽しそうに遊んでいる姿を見せることが先です。子どもは「楽しそう」という感情を模倣することから始めます。

関わり方①|大人が先に遊んでみせる

子ども前でおもちゃを使い、「このフルーツ、切ってみるね」「美味しそうなケーキができたよ」と声に出しながら遊びます。

子どもが参加しなくても、まず5〜10分間は親だけで遊び続けることが大切です。「やらなきゃいけない」という空気を作らず、「楽しい場があるという状況を作ることが目的です。

関わり方②|子どもの興味から入る

電車が好な子には「電車の駅っこ」恐竜が好きな子には「恐竜の世界ごっこ」など、子どもがすでに好きなものをごっこ遊びのテーマにするのが最も入りやすい方法です。

キッズ・ラボラトリーの利用者アケートで、ブッとっ遊びのおもちゃをリクエストしたい。創作・創造物を使って家族とコミュニケーションをとるのが好きなようなので」という声が届いています。子どもの「今の好き」を起点にすることで、遊びへの参加意欲が高まりやすくなります。

関わり方③|こだわりを否定しない

おもちゃを一列に並べる、同じ場面繰り返す、といった行動はその子なりの遊び方です。

「それじゃなくてこっちで遊ぼう」と誘導するより、その行動の隣に座って「仲間に入れて」と声をかけるほうが、関係性を壊さずに済みます。

こだわりの世界を尊重しながら、少しだけ「外の要素」を加えていくイメージです。

関わり方④|遊びの世界を言葉で実況する

「このクマさんはお腹が空いているみたいだよ」「お店屋さんに来たお客さんだよ」と、遊びの状況を言葉で実況することで、子どもはごっこ遊びの「文法」を少しずつ学んでいきます。

言葉の発達が気になる子どもには特に有効で、言葉と場面の対応関係を自然に学べます。

おもちゃ選びで気をつけたい「失敗パターン」

「せっかく買ったのに全く遊ばなかった」という声は、キッズ・ラボラトリーの利用者アンケートでも繰り返し届いています。

「ウッディプッディのおままごとセットを持っているので、届いたセット」とかぶってしまいました。似たようなものが2つあっても、子どもはどちらも中途半端にしか遊ばなくなってしまって…」(3歳のお子さんをお持ちの保護者より)

この事例が示すのは、テーマが重複するおちゃは遊びの深まりを妨げるということです。おままごとセットを選ぶ際は、すでに持っているものと「食材系・調理器具系・お店系」のどのカテゴリに属するかを確認してから選ぶと失敗が減ります。

「私が忙しくて、おもちゃで一緒に遊ぶ時間がなかなか取れませんでした。子どもも最初は興味を示していたのに、だんだん遊ばなくなってしまって。おもちゃの問題」というより、一緒に遊ぶ時間が作れなかったことが原因だったと思います」(2歳後半のお子さんをお持ちの保護者より)

ごっこ遊びは特に、最初の2〜3週間は親が一緒に遊ぶ時間を確保することが定着のカギになります。おもちゃを置いておくだけでは、発達障害のある子どもには届きにくいことが多いです。

キッズ・ラボラトリーのおままごとカテゴリの人気ランキングを見ると、1位はフィッシャープライスのスマートフォン(注文2,069回)、3位はエド・インターのままごといっぱいセット(969回)、10位はウッディプッディのアイスクリームセット(649回)と続きます。注文回数が多い商品は「実際に遊んでもらえた実績がある」ものでもあるため、迷ったときの参考になります。

「購入・サブスク・おさがり」どれが合うか|状況別の向き不向き

おもちゃの入手方法は1つではありません。家庭の状況によって合う選択肢が変わります。

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家庭の状況 購入 サブスク おさがり
何が合うか試したい段階
特定のおもちゃに強いこだわりがある
おもちゃが増えすぎて管理が大変
発達段階に合わせて定期的に変えたい
外遊び中心でおもちゃを使う時間が少ない

「何が合うかまだわからない」という段階では、サブスクで複数のおもちゃを試す方法が合いやすいです。一方、特定のおもちゃへのこだわりが強い子どもには、そのおもちゃを購入して手元に置き続けるほうが安心感につながることもあります。

キッズ・ラボラトリーの継続利用データでは、年間プランを選ぶ家庭が約5割強を占めており、「半年以上かけて子どもの好みの変化を見ながら使う」スタイルが定着しています。同じ家庭でも半年で好みが大きく変わるケースが多く、短い間隔でおもちゃを入れ替えることが遊びの幅を広げるうえで有効です。

専門機関への相談を考えるタイミング

おもちゃや遊び方の工夫だけでは難しさが続く場合、専門機関への相談も選択肢の一つです。

以下のような状況が続く場合は、かかりつけの小児科や発達支援センターに相談してみることをおすすめします。

  • 3歳を過ぎても「ふり遊び」(食べるふり・電話するふりなど)がほとんど見られない
  • 他者への関心がほとんどなく、大人が遊んでいても視線を向けない
  • 特定の感覚刺激(音・触感など)への強い拒否反応がある
  • 言葉の発達に著しい遅れがある

ただし、上記に当てはまるからといって必ずしも発達障害の診断につながるわけではありません。個人差が大きい時期でもあるため、専門家の目で確認してもらうことが大切です。看護師・保健師への相談窓口として、地域の子育て支援センターや乳幼児健診の場も活用できます。

発達に関する不安は、一人で抱え込まなくて大丈夫です。市区町村の発達支援センターや、かかりつけの小児科に「遊び方が気になる」と伝えるだけでも、適切な支援につながる第一歩になります。

ごっこ遊びに関してよくある3つの質問

Q1. 何歳になってもごっこ遊びをしない場合、心配すべきですか?

3歳を過ぎても「ふり遊び」の段階が見られない場合は、専門家に相談してみると安心です。ただし、ごっこ遊びの表現方法は子どもによって大きく異なります。一列に並べる・同じ場面を繰り返すといった行動も、その子なりのごっこ遊びである場合があります。「遊んでいない」ではなく「どんな遊び方をしているか」を観察することから始めてみてください。

Q2. 発達障害のある子どもに向くおもちゃはどう選べばいいですか?

子どもがすでに好きなもの・興味を示しているものに近いカテゴリから選ぶのが最も入りやすい方法です。電車好きなら電車を使ったごっこ遊び、食べ物に興味があるならおままごとセット、という具合に「今の興味」を起点にします。いきなり複雑なセットを用意するより、シンプルで具体的な形のおもちゃ(木製の食材セットなど)から始めると、見立て遊びへの入口が作りやすいです。

Q3. 親がどう関わればごっこ遊びが広がりやすいですか?

最初の2〜3週間は親が先に楽しそうに遊んでみせることが、最も効果的なアプローチです。「やらせよう」という意識より「一緒に楽しむ」姿勢のほうが、子どもは自然に引き寄せられます。子どものこだわりの行動を否定せず、その隣に座って「仲間に入れて」と声をかけることから始めてみてください。遊びの世界を言葉で実況することも、言葉の発達と遊びの広がりを同時に促す方法として有効です。

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ABOUT ME
青栁 陽介(おもちゃコンシェルジュ/キッズ・ラボラトリー代表取締役)
青栁 陽介は、キッズ・ラボラトリー株式会社 代表取締役であり、自らもおもちゃコンシェルジュとして利用者対応・玩具選定の現場に立つ。 2003年に通販システム業界に入り、2015年テモナ株式会社(東証一部 3985)執行役員、2017年に執行役員CMOに就任。在任中に東証マザーズ上場・東証一部上場を経験。2018年12月、一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会の創立メンバーとして業務執行理事に就任し、矢野経済研究所「サブスクリプション市場2019」をはじめとする業界調査に協力。サブスクリプション関連の講演・セミナーに登壇し、延べ15,000名以上が参加するなど、業界の体系化にも携わってきた。 2019年5月、長男の難病闘病をきっかけに、ベッドサイドでも安全に遊べる知育玩具の必要性を痛感してキッズ・ラボラトリー株式会社を設立。2020年1月の知育玩具サブスクリプション開始以降、累計約45万点(お届け約10万件)の発送実績を重ねる。 記事監修においては、自身が直接対応してきた利用者の声、実際の返却理由、人気・不人気の商品傾向など、運営現場の一次データに基づいた「実際に使われるおもちゃ」の視点を提供する。