新入社員研修のボードゲーム|進め方と振り返りの質問例
この記事を監修した人石渡 恵美・福井 美和子・太宰 潮・青栁 陽介詳しく
「ゲームで盛り上がったけれど、翌日から何が変わったのかわからない」という悩みは、ボードゲームを研修に取り入れた担当者が直面しやすい課題として一般的に指摘されています。
その原因のほとんどは、ゲームを選ぶ前に「何の行動を練習させたいか」が決まっていなかったことにあります。
この記事では、目標行動を1つ決める手順から、ゲームの選び方・90分と60分の時間割・ゲーム中の介入・振り返りの3問・翌日の行動目標の設定まで、一本の流れで示します。
この記事でわかること
- 研修で観察したい目標行動を1つ決める手順
- 人数と説明負担でゲームを選ぶ基準
- 90分・60分の時間割提案例(提案例であり固定値ではありません)
- ゲーム中の介入タイミングと問いかけ例
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研修で観察したい行動を1つ決める
研修担当者は、ゲームを選ぶ前に「情報共有・確認・相談」のうち今回練習させたい行動を1つ絞ると、振り返りの問いを立てやすくできます。3つ全部を1回の研修に詰め込むと、何を観察すればよいかが曖昧になりがちです。
具体例
「情報共有」を選んだ場合、観察するのは「自分が持っている情報を、相手が理解できる言葉で伝えられているか」という1点に絞られます。振り返りの問いも「どの情報が相手に伝わっていなかったか」という具体的な問いに対応させやすくなります。
「確認」を選んだ場合は、「相手の言葉を繰り返す・要約する・質問する」という動作が観察対象になります。振り返りでは「確認の一言を入れるとしたらどの場面だったか」という問いが直接対応します。
「相談」を選んだ場合は、「困ったときに声を出せたか」「助けを求める言葉が出たか」が観察対象になります。振り返りでは「どの場面で相談できたか・できなかったか」を問うと、参加者が具体的な場面を思い出しやすくなります。
どれを選ぶかは、新入社員が入社後の業務でまず直面する場面を思い浮かべると決めやすいです。報告・連絡・相談のどこでつまずきやすいかを、受け入れ部署の担当者に事前に聞いておくと、目標行動の選択に根拠を持てます。
ゲームを人数と説明負担で選ぶ
研修担当者は、参加人数とルール説明にかけられる時間の2点で候補を絞ると選びやすくなります。説明時間が長いほど本番プレイの時間が短くなるため、90分の研修では説明に10分以上かけるゲームは避け、練習ラウンドを挟む余裕を確保することが重要です(90分の場合は説明10分程度が目安。詳細は時間割提案例を参照)。
説明時間が長いゲームを選ぶ場合は、練習ラウンドを1回挟むか、ルール説明を事前資料で補うなどの工夫が必要です。ただし、初回プレイでは参加者の意識が操作に向きやすいため、情報共有の観察は2回目以降のプレイで重点的に行うと効果的です。
おもちゃ、選定から交換まで
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以下の表は、研修でよく使われるゲームを人数・説明時間・観察しやすい行動の観点で示したものです。公式仕様はメーカー・出版社の情報をもとにしています。価格は販売店・時期により変動しますので、購入前に公式サイトでご確認ください。
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商品画像・情報は アマゾンアソシエイツ を参照しています。
※人数・所要時間はメーカー公式情報をもとに作成しています。研修での実際の進行時間は参加者の習熟度により変わります。掲載ゲームの勝敗は参加者の能力・適性の判定に使わないでください。
以下は参考情報です。上記の表で紹介したゲームの購入リンクをまとめています。
参考:掲載ゲームの購入リンク
ハリガリシリーズを例に挙げましたが、研修で使うゲームはシリーズの種類より「目標行動との一致」で選ぶことが先です。
「情報共有」を練習させたいなら、自分だけが持つ情報を他者に伝えないと全員が困る構造のゲームが向いています。「確認」を練習させたいなら、相手の意図を聞き返す場面が自然に生まれるゲームが向いています。
人数が8人以上になる場合は、1テーブル4〜5人に分けて複数卓で同時進行する形が現実的です。全員が1つのゲームを囲む形は、観察できる行動が薄まりやすいです。
90分・60分の時間割提案例
90分の提案例は、目的確認10分・説明と練習10分・1回目プレイ20分・振り返り15分・再試行20分・業務への置き換え15分が目安です。これは提案例であり、使用するゲームの公式所要時間に合わせて調整してください。
以下は90分と60分の時間割の提案例です。使用するゲームの実際の所要時間・参加人数・習熟度によって変わります。「提案例」として参考にしてください。
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60分の場合は再試行を省き、振り返りと業務への置き換えを合わせて25分で進める形が現実的です。再試行がない分、振り返りの問いを丁寧に扱う時間に充てると、気づきが業務の言葉に変換されやすくなります。
90分と60分のどちらを選ぶかは、「再試行を入れるかどうか」で決まります。1回目のプレイで気づいたことを、すぐに試す機会を作れるのが90分の強みです。60分は時間の制約がある場合や、研修の一部として組み込む場合に向いています。
ゲーム中の問いかけと介入のタイミング
参加者が黙り始めたタイミングや、情報を出し惜しみしている場面が介入の目安です。「今、チームに伝えていない情報はありますか」「その判断に至った理由は何ですか」「相手の提案に対して、あなたはどう思いますか」など、ゲームの流れを止めずに使える短い問いを手元に用意しておくと安心です。
介入のタイミングを見極めるために、ゲーム開始前に「観察する場面」を3つ決めておくと動きやすくなります。
- 参加者が自分の手番以外に発言しなくなった場面
- 情報を持っているのに出さずに待っている場面
- 確認せずに次の行動に移った場面
これらの場面が起きたとき、ゲームを止めて全体に問いかける方法と、そのテーブルだけに小声で問いかける方法があります。全体に問いかける場合はゲームの流れが一時停止しますが、全員が同じ気づきを共有できます。テーブルごとに問いかける場合は流れを壊しにくいですが、担当者が複数テーブルを同時に見る必要があります。
使いやすい介入の問いかけ例を以下に示します。
問いかけは短く、ゲームの文脈から外れない言葉にすることが大切です。「なぜ黙っていたんですか」のような問いは、参加者を責める印象を与えるため避けてください。
また、介入しすぎるとゲームの体験が薄まります。1回のプレイで介入するのは1〜2回を目安にし、残りは参加者の自然な動きを観察する時間に充てるほうが、振り返りの素材が増えます。
振り返りで使う3つの質問
「どの情報が相手に伝わっていなかったか」「確認の一言を入れるとしたらどの場面だったか」「明日の仕事で誰に何を確認するか」の3問が、ゲームの体験と職場をつなぐ問いとして使いやすいです。
この3問は、ゲームで実際に起きた場面を振り返る問いと、職場の行動に置き換える問いで構成されています。各問いを使う理由は次のとおりです。
- 「どの情報が相手に伝わっていなかったか」→ゲーム中に実際に起きた情報の齟齬を具体的に認識させ、職場での情報共有の課題を明確にするための問いです。
- 「確認の一言を入れるとしたらどの場面だったか」→ゲーム中の場面を思い出させることで、職場での確認行動の具体的なタイミングを意識させるための問いです。
- 「明日の仕事で誰に何を確認するか」→ゲームの体験を翌日の行動に直結させ、研修の効果を職場で実装させるための問いです。
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3問を全員に一斉に問いかけるより、まず個人でメモする時間(2〜3分)を取ってから、ペアまたはテーブル内で共有する順番が、発言量の少ない参加者も答えを持ちやすくなります。
振り返りの問いは、ゲームで実際に観察できた場面に対応している必要があります。ゲームの構造上、情報を出し惜しみする場面が生まれないゲームを使った場合、「どの情報が伝わっていなかったか」という問いには答えにくくなります。ゲームを選ぶ段階で、この3問が成立するかを確認しておくと安心です。
翌日の職場で試す行動目標の決め方
振り返りの最後に、「明日の朝礼で」「業務開始時に」「昼の報告時に」など、具体的なタイミングを含めて「誰に・何を・どのタイミングで確認するか」を1文で書いてもらうと、研修の体験が翌日の行動に結びつきやすくなります。
行動目標は、抽象的な決意ではなく、具体的な場面と相手と言葉を含む形にすることが大切です。
「誰に」「何を」「どのタイミングで」の3点が揃うと、翌日に実行できたかどうかが自分でも確認しやすくなります。
行動目標を書いた後、隣の人に読み上げて共有する時間を1〜2分取ると、宣言した分だけ実行しやすくなる傾向があります。ただし、全員の前での発表を強制すると、書く内容が「聞こえのよい目標」になりやすいため、ペアまたは小グループ内での共有にとどめるほうが実態に近い目標が出やすいです。
研修の翌週に、行動目標を実行できたかを短く確認する機会(チャットでの一言報告など)を設けると、研修の効果が持続しやすくなります。ただし、報告を義務化すると参加者の負担になるため、任意の形にするか、受け入れ部署の担当者と連携して自然な形で確認できる仕組みを検討してください。
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ゲームが苦手な参加者への配慮
ゲームが苦手な参加者への配慮は、ゲーム開始前の説明時に「プレイ・記録役・説明再確認役のいずれかを選べます」と明示することから始まります。見学・記録役・説明の再確認役など、プレイ以外の関わり方を最初から選択肢として示しておくと、ゲーム経験の差が参加のしやすさに直結しにくくなります。ゲームの勝敗で能力や適性を判定することは避けてください。
ボードゲームに慣れていない参加者にとって、「ルールが分からないまま本番が始まる」状況は、ゲームへの不安だけでなく、研修全体への参加意欲を下げる原因になります。
以下の表は、参加者の状況に応じた関わり方の選択肢です。
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迷ったら、「プレイしなくても振り返りには参加できる」という前提を最初に全員に伝えておくだけで、参加のしやすさが変わります。
ゲームの勝敗は、参加者の能力や適性を示すものではありません。ゲームに慣れているかどうか、その日の体調、テーブルの人数バランスなど、さまざまな要因が結果に影響します。勝ったチームを称えることはよいですが、「このゲームで強かった人は仕事でも〜」という結びつけは避けてください。
新入社員研修のボードゲームでよくある質問
「情報共有・確認・相談」のうち、今回の研修で練習させたい行動を1つ決めることが先です。目標行動が決まると、その行動が自然に起きるゲームの構造を選ぶ基準が生まれます。3つ全部を1回に詰め込むと、振り返りの問いが散漫になりやすいため、1回の研修で1つに絞ることをおすすめします。
90分の研修では説明に10分程度を目安にすると、練習ラウンドを挟む余裕が生まれます。説明が長くなるほど本番プレイの時間が短くなるため、説明が長くなりそうな場合はルールカードを手元に置いたまま進める形にすると、ゲーム中の確認がしやすくなります。
「明日の仕事で誰に何を確認するか」の1問を必ず残してください。この問いが翌日の行動につながる最も直接的な問いです。時間が足りない場合は、最初の2問(どの情報が伝わっていなかったか・確認の一言を入れるならどの場面か)を個人メモで代替し、全体共有は3問目だけにする形でも機能します。
ゲーム開始前の説明時に「プレイ・記録役・説明再確認役のいずれかを選べます」と明示してください。見学・記録役・説明の再確認役など、プレイ以外の関わり方を最初から選択肢として示しておくと、苦手意識のある参加者が孤立しにくくなります。ゲームの勝敗で能力や適性を判定することは避けてください。
再試行(2回目のプレイ)を省くのが現実的です。1回目のプレイ後に振り返りと業務への置き換えを合わせて25分取る形にすると、60分でも「体験→気づき→翌日の行動」の流れを作れます。目的確認とルール説明は省かないほうが、振り返りの質が保たれます。
学術協力
この記事で紹介した利用データの読み解きは、消費者行動・サブスクリプション研究を専門とする福岡大学商学部の太宰潮教授に学術協力をいただいています。
本記事で使用している「継続利用データ」「利用者アンケート」は、キッズ・ラボラトリーの利用者対応・交換リクエスト・アンケート回答をもとに、個人が特定されない形で集計したものです。対象期間、件数、集計方法はデータと実績|公式ファクトに記載しています。
参考文献
- 日本能率協会 マネジメントスクール(2026年9月確認)
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