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技術革新が著しい昨今、子どもたちの教育も転換期にあるといわれています。その転換期の代表的な教育法のひとつが、STEAM教育です。
STEAM教育とはどのような教育法で、どのように実践するのでしょうか。今回は、STEAM教育について詳しく解説します。
STEAM教育とは?
まずは文部科学省が推進する理由も含め、STEAM教育について解説します。
文部科学省も推進しているSTEAM教育
STEAMとは、次の頭文字をとった造語です。
S サイエンス(科学)
T テクノロジー(技術)
E エンジニアリング(工学・ものづくり)
A アート(芸術・リベラルアーツ)
M マテマィクス(数学)
文部科学省が発表している『STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について』をまとめると、「文系や理系の垣根を超えて、得た情報を活用しながら統合し、発見や解決にたどり着くための創造性と実践性を身につける教育」ということになります。
(参考:厚生労働省『STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について』)
STEAM教育は日本とアメリカで差がある?
STEAM教育はアメリカで生まれたSTEM教育をベースとしています。
STEM教育は、STEAM教育から「A(アート)」を抜いたもので、理系の人材を増やすことを目的に作られました。
その後、日系アメリカ人の学者ジョン・マエダ氏が「21世紀の教育は、理系の科目だけではなく将来を描くためのアートが必要だ」と訴えたことをきっかけに、STEAM教育が生まれたのです。
つまり、STEAM教育はアメリカが先進国といっても過言ではありません。
アメリカに習うように、イギリスや中国、イスラエルなどでSTEAM教育が推進されるようになりました。日本でもプログラミングの授業が開始されるなど、全国各地でSTEAM教育を実践する学校が増えつつありますが、アメリカほど進んではいません。
なぜ必要?STEAM教育の目的
文部科学省によるSTEAM教育推進の提言を読んでも、なにが目的なのか、なぜそれほど重要なのか、なかなか理解できないかもしれません。
国として掲げるIT人材の育成も主な目的ですが、ここでは、もう少し深いところでSTEAM教育の目的を考えてみます。
受動的な学びから能動的な学びへ
これまでの日本の教育は、受動的な学びが大半でした。
受動的な学びとは、「先生から一方通行で教わること」「答えが用意された問題に対し、正しい答えを導き出すこと」です。
一方、STEAM教育の能動的な学びとは、「子どもたちが自発的に学ぶこと」「答えがない問題に取り組むこと」が基本です。子どもたちが「知りたい」「面白い」「ワクワクする」と思ったことに対して、子どもたち自身が考えることに意義があるわけです。
「知る」と「創る」のサイクルを生む
これまでの教育は、学生時代にさまざまな知識を得て、大人になってからそれらを活用していくというケースが大半を占めていました。しかし幼少の頃からのアウトプットの習慣がなければ、大人になってから壁に当たってしまうことになります。
STEAM教育は、知識をインプットするだけではなく、それをベースに「なにかを創る」というアウトプットがセットになっています。学びと現実が結びつくことで、子どもたちの意欲もさらにアップすることになります。
幅広い知識の会得と実践
西洋文化の礎を作った古代ギリシアでは、数学や音楽などの多種の学問を包括的に探究していました。これがいわゆる「リベラルアーツ」と呼ばれるものです。
現代は専門分野の細分化が当たり前になっていますが、先人たちが示すように、教科をまたいだ学習にも一定の効果が期待できます。
STEAM教育で文系と理系の枠を超え、試行錯誤することで、子どもたちは独自の答えを得て実践できるのです。
コミュニケーション力を身につける
STEAM教育では問題に正答が存在しないため、自分と異なる考え方をもつ人との積極的な交流が生まれます。
さまざまな意見を受け話し合うことで視野は広がり、価値観が異なる他者を重んじるきっかけにもなります。こうして、多様性がうたわれる新しい社会において必要なコミュニケーション力が育まれます。
予測不能な未来を生き抜く力を培う
日本は少子高齢化が進み、テクノロジーなしでは社会が成り立たない時代に突入するといわれています。また、テクノロジーの進歩により、今ある仕事がどんどん消えて、新しい職業がたくさん生まれるともいわれます。
明日何が起きるかわからない時代を生き抜く力を培うことも、STEAM教育の重要な目的の一つといえます。
STEAM教育の事例
日本ではまだ知名度が低いSTEAM教育ですが、全国では幼稚園から高校にいたるまでさまざまな試みが行われています。
その事例のいくつかをご紹介します。
幼児向けのSTEAM教育事例
柔軟な発想が次々と生まれてくる幼児期こそ、STEAM教育によって子どもは大きく成長します。
栃木県の「認定こども園さくら」で実際に行ったSTEAM教育の事例をみてみましょう。
STEAM教育の基本は、子どもたちの「なぜ?」「どうして?」にあります。そのため、散歩や食事、掃除といったごく日常的な事柄から、STEAM教育の糸口を見つけることができます。
小学校でのSTEAM教育事例
個性が際立ち始める小学校でのSTEAM教育は、テーマも多様になってきます。
静岡県の加藤学園暁秀初等学校では、6年生で「オリジナルロボットやプログラミングで動く作品を制作する」ことを目標に、STEAM教育を実践しています。
たとえば、社会科で学んだ自動車工業を、テクノロジーの時間にプログラミングを使用した学びへと飛躍させた「自動走行車の制作」などです。
詳しくは、「オープンプランICT・プログラミング」のページでまとめられています。
中学校でのSTEAM教育事例
物事の理解度が深まる中学生になると、STEAM教育も奥が深くなり、子どもたちの充足感も向上します。
岐阜県の糸貫中学校での事例をみてみましょう。
全国の中学校におけるSTEAM教育実践例を見ると、とくにアートやテクノロジーを駆使した社会貢献が目立ちます。
STEAM教育はいつから始める?
さまざまな事例を見て「わが子にもSTEAM教育の恩恵を受けさせたい」「受ける機会を逃したくない」と思ったパパさんやママさんは多いはず。
STEAM教育は、実は0歳から実践可能です。幼児期なら、少し意識をするだけで取り入れることができます。
具体的には、子どもが興味を持っていたら大人が理解できないことでもゆっくり見守るだけでもよいようです。少し工夫するのなら、あそびの中で複数の五感をまとめて刺激することもポイント。
月齢や年齢に合わせた遊びや体験から、子どもたちにSTEAM教育を与えてあげましょう。
家庭でもSTEAM教育を実践できる?
特別な学校や教室に通わせなくても、STEAM教育を実践できます。自宅でSTEAM教育を行うには、次のような方法があります。
- 食事や買い物、散歩や掃除など、日常の中で糸口を見つける
- 知育玩具やゲームを活用する
- STEAM教育に特化した通信教材を使う
課題の解決、創造する力の発達などSTEAM教育のメインテーマを意識すれば、日々の暮らしでそれを育むことができます。
いつも意識することは大変だ、という方は解く・創るができる知育玩具を用意すればOKですし、通信教育で専門知識を学ぶのもよいでしょう。
幼児向け!STEAM教育のおもちゃ
いわゆる知育玩具は巷にあふれていて、STEAM教育のために有用なおもちゃを選ぶのは簡単ではありません。
そこで、STEAM教育の一助となる幼児期のおもちゃについていくつかご紹介します。いずれも、男の子でも女の子でも楽しめるタイプです。
ボーネルランド:マグ・フォーマー
正三角形、正方形、五角形が計62ピース入ったマグ・フォーマーは、平面から立体まで体感しながら組み立てられるおもちゃ。手を使ってさまざまな形を創ることで、数学的なセンスが培われます。カラフルな色合いもよい刺激になります。
対象年齢:2歳から
ラーニングリソーシズ:初めての拡大鏡
20倍まで拡大できる拡大鏡は、幼児向きながら焦点調整ノブもある本格派。拡大鏡の仕組みを知り、扱い方を学ぶことができます。土台から取り外せるため、屋外での観察にも活用可能です。物体本来の姿を見ることで、科学の楽しさを体感できます。
対象年齢:3歳~7歳
エド・インター:森のくるくるピッピ!レジスター
日常生活の中からSTEAM教育を行うために役立つのが、お買い物ごっこのためのレジスターです。数字の概念と実用、その双方を遊びながら学べるおもちゃです。木製の手触りも人気です。
対象年齢:3歳から
STEAM教育のおもちゃはサブスクで取り寄せることがおすすめ!
子どもが小さいうちからSTEAM教育を実践するなら、知育玩具が大活躍します。しかし、STEAM教育のためのおもちゃを見つけるのは難しく、質がよい物ほど高価なので、選ぶのに迷ってしまうことも。
おもちゃのサブスクならば、お子さんの年齢等に合わせておもちゃを選んでくれる専門のコンシェルジュに頼れるほか、合わなかった場合には交換もできます。
お子さんの将来のためにも、おもちゃのサブスクをぜひお試しください!