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ここ数年で一気に注目されるようになったモンテッソーリ教育。優れた教育法として人気ですが、中には取り入れたことを後悔をしている方もいるようです。
この記事では、モンテッソーリ教育の基本的な内容をふまえ、失敗や後悔をしやすいポイントを詳しくまとめています。
これから、わが子にモンテッソーリ教育を受けさせたいと考える方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育とは、医学博士であったマリア・モンテッソーリによって生み出された教育法。自立し、責任感と他人への思いやりを持ち、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てることを目的としています。
モンテッソーリ教育の大きな特徴は、大人が子どもに一方的に何かを教え込むのではなく、子ども自身が自立・発達していこうとする「自己教育力」を活かした教育です。
もともとは障害児の治療として始まったモンテッソーリ教育ですが、健常児にも適応することが判明してから世界中へと広まりました。
日本では1960年代に紹介されて以降、多くの保育や幼児教育の現場で取り入れられています。
「モンテッソーリ教育で後悔した」という人に多い4つの理由
後悔している人に共通しているのは、モンテッソーリ教育そのものが悪かったのではないということ。うまく実践ができなかったり、親のほうが自分と異なる価値観を受け入れられなかったりすることが後悔につながっています。
この前提のもとで具体的な理由を調べると、4つのパターンがみえてきます。
- 環境を整えられなかった
- 協調性がない子になったと感じる
- 小学校入学後に周りとの違いがある
- 親子の関わりが不十分だった
それぞれ詳しく解説します。
環境を整えられなかった
まず、施設選びの失敗による後悔の声が多数あります。
どこの施設でも専門的なトレーニングを受けている先生が指導を行うわけですが、個人差があるのも事実で、期待する水準にない先生によってモンテッソーリ教育の場として悪い環境になっているリスクがあります。
また、おうちでも同じような環境を提供するため、子どもに対してやってはいけないことなどの共通ルールを守る必要があります。
しかし、これを徹底してやるのはかんたんなことではないため、うまくできなかったケースも多いようです。
協調性がない子になったと感じる
子どもが関心の持ったものにとことん集中して取り組むことを推奨しているモンテッソーリ教育。見方を変えれば、「自分の好きなことはやるが、嫌いなことはやらない」という考え方ともとれます。
いまの社会では、日常生活においてやらなければいけないことや我慢が必要なこともでてきます。
しつけと自主性を尊重することのバランスは難しいので、それがモンテッソーリ教育をやめてしまう理由の1つになっているようです。
小学校入学後に周りとの違いがある
日本ではモンテッソーリ教育を掲げている小学校はごくわずかで、気軽に通える範囲にないこともあります。そのため、幼児教育でモンテッソーリ教育を受けたあと、多くの子が地域の小学校へ進学します。
その場合、周囲の子どもとの違いに難しさを感じることもあるようです。
また、周りの子に対して興味が持てず、友達作りで苦戦したという声もあります。本人が気に留めていなくても心配になるのが親心で、「普通の教育にしてあげればよかった」と後悔する人もいるようです。
親子の関わりが不十分だった
モンテッソーリ教育では、子どもが、褒められるためではなく自分自身の成長のために物事に取り組むように促します。
そのために、過度に子どもを褒めず、「認める」という形をとります。
これがすごく難しいところで、褒めること・褒められることに慣れているママさんやパパさんの場合、徹底すればするほど関係の希薄さを感じ、後悔に繋がることがあるようです。
モンテッソーリ幼稚園に通わせて後悔したという声も……
続いて、もう少し具体的な後悔のポイントをみていきます。
モンテッソーリ教育を導入している幼稚園の場合は、次の3つが後悔のポイントとしてあります。
- 異年齢(縦割り)保育を取り入れている
- ほかの園と比べて行事が少ない
- 「お仕事」の時間がある
それぞれの特徴を詳しく解説します。
異年齢(縦割り)保育を取り入れている
年齢の異なる子ども同士が、同じ空間で過ごす異年齢保育。お互いがお互いを感じながら尊重し合い、ともに学ぶ環境の中で社会性や協調性を自然に身に付けることを目的としています。
しかし、異年齢教育ならではの特徴がデメリットになってしまう場合もあるようです。
- 年上の子が先生に甘えることができず、我慢する姿がかわいそうだった
- 年上の子のほうが力や性格が強く、いじめを経験
ほかの園と比べて行事が少ない
モンテッソーリ幼稚園では、子どもの日々の活動を重視しています。
運動会やお遊戯会、クリスマス会など大きな行事は行いますが、練習に多くの時間を費やすことはしません。あくまでも日常生活からの学びを最優先します。
- わが子が、行事が比較的多い幼稚園に通う近所の子を、うらやましく思っていた
- 分かってはいたけれど、行事が少なく園の様子を見られないのは、親としてはやはりさみしい
「お仕事」の時間がある
モンテッソーリ専用の教具を取り入れた活動を「お仕事」とよび、通常の遊びと区別しています。
自主性を重要視するため、たくさんある教具の中から自ら活動を選び、時間の区切りを設けずに自分の中でキリがよいところで終わります。
- 自主性を尊重する園生活に慣れてしまい、家でも自分の好きなことしかやらない
- 見守っているのは理解できるが、なかなか選べない子が放置されているようにも感じた
モンテッソーリ幼稚園を経験した人の中には、このような理由で園選びを失敗したと感じ、後悔したと感じている人もいるようです。
モンテッソーリ教育が「怖い」「危ない」と言われているのはなぜ?
モンテッソーリ教育はメディアでも取り上げられ、今ではかなり一般的になりました。
しかし、その独特な教育法や「おうちモンテによる教育熱心な親のやることだ」という誤解から、一部の理解のない人から「気持ち悪い」「時代遅れ」「やばい」とマイナスに捉えられることも……。
確かに日本の教育システムとモンテッソーリ教育では、大きく異なる部分も多いのは事実です。日本で生活しながらモンテッソーリ教育を実践しようとすると、周囲の理解が浅い場合は批判されてしまうかもしれません。
日本の従来の教育法 | モンテッソーリ教育 | 批判される理由 | |
---|---|---|---|
タイムスケジュール | きっちりと時間割で管理される | 自分の納得できるまで活動を続ける | 集団での活動に適応できないのでは? |
活動内容 | 決められた活動をみんな行う | 1人ひとりの自主選択制で決まる | 協調性に欠けるのでは? |
体力面 | 静と動の活動を組み合わせ、適度に体を動かす | 静かに座って活動する時間が長く、運動量は少ない場合もある |
|
教育面 | 基本的生活習慣を身に付け、人としての基礎をつくる | 自立し、自分で自分を育てる「自己教育力」を育てる | 天才児教育やお受験対策では? |
これらの違いは、いずれ小学校へ入る際にうまく適応できないのではないかと思われてしまう要因でもあります。
モンテッソーリ教育での活動時間も、あまり詳しくない人からしたら、ただ黙々と自分の好きなことだけをしているように見られがちです。
人は、「普通」と異なる物事に対して、注目すると同時にあまり理解を深める前に批判的に捉えてしまう傾向があります。モンテッソーリ教育に関しても、同様のことが言えるのかもしれません。
モンテッソーリ教育の向き不向きはある?
モンテッソーリ教育に向いてる子どもとそうでない子どもがいると思われがちですが、結論は子どもの向き不向きは関係ありません。
体を動かすことが好きな子とそうでない子、落ち着きのある子とそうでない子、好きな遊びをすぐに見つけられる子とそうでない子。例に挙げたらキリがないですが、1人ひとり性格や感性は違いますよね。
モンテッソーリ教育を受ける子は、全員落ち着きがあって集中できる子でなければならないかというと、そうではありません。
モンテッソーリ教育が合わない子とは
モンテッソーリ教育に子どもの向き不向きはありません。
実は大人のほうが向き不向きに関係しているのです。子どもに対する親の想いが強いと、それがモンテッソーリ教育の妨げになってしまうこともあるからです。
子どものやりたい気持ちを優先するのが、モンテッソーリ教育。子どもの意志を尊重できる親は、モンテッソーリ教育をいざ始めてもあたたかく見守ることができるのかもしれませんね。
モンテッソーリの合う合わないは時間をかけて変化していく
自己選択制といっても、はじめから全員がやりたいことを見つけられるわけではありません。すぐに見つけられなくても、時間をかけながら次第に見つけられるようになっていくのです。
はじめから落ち着きのある子ばかりでもなければ、手先が器用なわけでもありません。時間をかけて変化していき、目指す子どもの姿になっていきます。
大人が環境を整えることが大切
自己教育力によって子どもは成長しますが、そのために必要な環境を大人が準備する必要があります。そのためには、モンテッソーリ教育について正しい知識を大人が身に付けることが必要不可欠なのです。
子どもが今、何に興味関心が向く時期なのかを把握し、最適な環境を整えてあげるとよいでしょう。
モンテッソーリで失敗しないために押さえておくべきポイント
モンテッソーリ教育を受けさせる場合、しっかりとモンテッソーリの恩恵を受けたい、失敗はさせたくないと思いますよね。
そこで、モンテッソーリ教育をうまく取り入れていくには何が大切なポイントなのか、ここで押さえておきましょう。
モンテッソーリ幼稚園を検討するなら、入念な下調べを
モンテッソーリ幼稚園に子どもを入れたいと考えるなら、その園の特徴やどの程度モンテッソーリ教育を取り入れているのかなど、しっかりと確かめることが必要です。
そして、親としてどこまで適応できるのかというところもポイント。園独自のルールに親が疲弊してしまっては長続きしません。親子で一緒に取り組めるかどうかを判断基準にするのもよいですね。
親や身の回りにいる人の理解が必要
子どもの「やりたい」気持ちを尊重するためには、できる限り「できない」要因をなくすことが重要です。
この考えを理解しておかなければ、子どもの気持ちを尊重することは難しくなってきます。
モンテッソーリ独自の教育法は、時に周りの人が違和感を覚える場合もあるので、身近に理解者がいると共有しやすく親としても安心できますよね。
環境を整える
モンテッソーリ教育を取り入れる際は、子どもの「やってみたい」が実現できる環境を用意してあげる必要があります。
内容によっては、「危ないから」「難しいから」とあれこれ言いたくなってしまいますよね。しかし、できる限りぐっとこらえて子どもの気持ちを優先し、経験できる環境を与えることが大切です。
「できない要因」がある場合は、「どうしたらいい?」と積極的に子どもに問いかけ、答えを導く経験を通して自主性を育てていきましょう。
モンテッソーリ教育は専用のおもちゃから始められる
モンテッソーリ教育についていろいろ分かったけれど、やっぱり「モンテッソーリ教育をはじめからしっかり導入するのはなんだか不安」と感じる方もいるはず。
そんなときは、モンテッソーリ教具のサブスクから試してみるのをおすすめします。
モンテッソーリ教具のサブスクを試すメリットは、以下の4つ。
- 気軽に楽しく体験できる
- 子どもの素直な反応を直接的に確かめることができる
- 購入するには値段が高めの教具をお得に試せる
- 子どもの年齢や月齢に合ったものを試せる
サブスクなら、気軽にモンテッソーリ教育を体験できます。まずは簡単に取り入れられる「おうちモンテ」から、親子で試してみるのもおすすめです。