この記事を監修した人
幼児教育監修|石渡 恵美(幼稚園教諭)
医療監修|福井 美和子(看護師/保健師)
おもちゃ選定|青栁 陽介(おもちゃコンシェルジュ/キッズ・ラボラトリー代表取締役)

完母を目指しているけれど、哺乳瓶を出産前に買っておくべきか迷っている——おもちゃコンシェルジュの対応経験では、産前の準備品について「本当に必要か」という相談が寄せられることがあります。

全員が出産前に買う必要はなく、自分の状況を4つの問いで確認すれば「今買う」「1本だけ備える」「産後に判断」のどれかが自然と決まります。

搾乳の予定・家族授乳の予定・預け先の有無・産院の貸し出し方針、この4点を読み進めながら確認してみてください。

この記事でわかること
  • 完母予定でも哺乳瓶が必要になる場面と、必要にならない場面の違い
  • 「今買う/1本だけ備える/産後に判断」を決める4つの問い
  • 搾乳・家族授乳・預け先ごとのシーン別の必要性
  • 産院の貸し出し・配布方針を確認しておく背景
▼ 気になるところから読む

完母を目指していても哺乳瓶が必要になる場面はある

母乳だけで育てたいと思っていても、哺乳瓶が必要になる場面は状況によって生まれます。「完母=哺乳瓶は絶対不要」とは言い切れないのが現実です。

ただし、「完母でも念のため用意しておくと安心」という曖昧な理由で全員が買う必要もありません。必要になるかどうかは、搾乳・家族授乳・預け先・産院の方針という4つの状況によって変わります。

よく挙げられる場面を見てみましょう。

  • 搾乳した母乳を家族に飲ませたい——搾乳した母乳を哺乳瓶に入れて、パートナーや祖父母に授乳を頼む場合は哺乳瓶が必要です。
  • 保育園・一時預かりなど預け先がある——多くの保育園や一時預かり施設では、哺乳瓶での授乳を前提としています。
  • 母乳が軌道に乗るまでの補足授乳——産後すぐは母乳分泌が安定しないことがあり、産院の判断で補足授乳が必要になることがあります。
  • お母さまが体調を崩したとき——入院や発熱時など、授乳できない状況が突然生じることがあります。

一方で、搾乳も家族授乳も預け先もなく、産院が哺乳瓶を貸し出してくれる場合は、出産前に購入しなくても間に合うケースがあります。

「完母でも哺乳瓶は必要か」という問いへの答えは、お母さまの授乳スタイルより、生活の状況(誰が・どこで・どう授乳するか)によって決まります。まずその状況を確認することが先決です。

出産前の準備全般について知りたい方は、こちらの記事もご参考ください

出産前に買うか産後に判断するか、4つの問いで決める

以下の4つの問いに順番に答えてみてください。①②のいずれかが「はい」なら、出産前に1本備えておくと安心です。③は産院への確認次第で変わります。①~③すべてが「いいえ/未定」なら、産後に産院の指示を受けてから購入を検討しても遅くありません。

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出産前に買うか産後に判断するか、4つの問いで決める
確認する問い 「はい」なら 「いいえ/未定」なら
① 搾乳して家族に飲ませる予定がある 出産前に1本備えておくと安心 次の問いへ
② 保育園・一時預かりなど預ける予定がある 出産前に1本備えておくと安心 次の問いへ
③ 産院が哺乳瓶を貸し出し・配布しない 産後の補足授乳に備え1本あると安心 次の問いへ
④ 上記すべて「いいえ/未定」 産後に産院の指示を受けてから判断でOK

①②のどちらかに「はい」がつく場合は、出産前に1本用意しておくと安心です。③は産院への確認次第で変わります。①〜③すべてが「いいえ/未定」なら、産後に産院の指示を受けてから購入を検討しても遅くありません。

「産後でも間に合う」と感じた方は、まず産院に貸し出し方針を確認することを先にしておくと、出産後の判断がスムーズです。

搾乳して家族に授乳を頼む予定があるなら

搾乳した母乳を哺乳瓶で飲ませる場合は、出産前に1本用意しておくと安心です。ただし赤ちゃんが必ず哺乳瓶で飲むとは限らないため、最初から複数本そろえるより1本から試す方が無駄になりにくいです。

搾乳して家族に授乳を頼む目的は、大きく2つに分かれます。

  • お母さまが休む時間をつくるため——夜間授乳の一部をパートナーに任せたい、外出中に授乳を頼みたい、など。
  • 職場復帰後の練習として——保育園入園前に哺乳瓶に慣れさせておきたい、など。

ただし、搾乳した母乳を哺乳瓶で飲ませれば必ず休める・赤ちゃんが必ず飲む、とは言い切れません。

哺乳瓶を嫌がる赤ちゃんもいますし、搾乳自体が思うようにできない時期もあります。「搾乳して家族に任せる」という計画は、産後の状況を見ながら柔軟に考えておくと安心です。

また、母乳育児が軌道に乗る前の早い時期から哺乳瓶を使い始めると、乳頭混乱(赤ちゃんが乳首と哺乳瓶の乳首を混同し、どちらかを嫌がるようになること)が起きる場合があります。開始時期については、産院や助産師に相談してから決めると安心です。

乳頭混乱が心配な場合は、哺乳瓶の乳首の形状・素材・流量を変えると改善することがあります。困ったときは産院・小児科・助産師に相談するのが最も安心です。哺乳瓶拒否の対処法を深掘りしたい場合は、産院での相談を起点にしてください。

搾乳した母乳の飲ませ方・温め方・乳頭混乱への配慮について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参考ください。

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保育園・一時預かりなど預ける予定があるなら

預け先が哺乳瓶での授乳を前提とする場合、練習の意味でも1本は手元にあると助かります。ただし練習の開始時期は産院や助産師に相談してから決めると安心です。

保育園や一時預かり施設の多くは、哺乳瓶での授乳を前提としています。入園前に「哺乳瓶で飲める状態」にしておくことを求められるケースもあるため、預ける予定が決まっている場合は早めに準備を考えておくと安心です。

ただし、いくつか注意しておきたい点があります。

  • 哺乳瓶の練習を始める時期は、母乳育児の状況によって変わります。産院や助産師の指示に従うのが安心です。
  • 預ける時期が先の場合は、出産直後から急いで準備しなくても間に合うことがあります。具体的なタイミングは産院や助産師にご確認ください。
  • 一時預かりの場合は、施設によって哺乳瓶の持参が必要かどうか異なります。事前に施設に確認しておくと安心です。

「いつ頃から預ける予定か」が決まっている場合は、その時期から逆算して産院に相談するタイミングを決めると、準備が無駄になりにくいです。

哺乳瓶練習の具体的な進め方・時期については、こちらの記事で詳しく説明しています。

産院の貸し出し・配布方針をまず確認しておこう

産院によっては入院中に哺乳瓶を貸し出したり、退院時に1本配布したりするところがあります。まず産院に確認すると、出産前の購入が不要になるケースもあります。

産院の方針は、出産前の哺乳瓶購入を判断するうえで大きな変数になります。確認しておきたいのは以下の点です。

  • 入院中、哺乳瓶の貸し出しはあるか
  • 退院時に哺乳瓶を配布してもらえるか
  • 補足授乳が必要になった場合、産院で対応してもらえるか

産院によっては、入院中に使う哺乳瓶を貸し出してくれるところがあります。また、退院時にミルクのサンプルと一緒に哺乳瓶を1本配布してくれる産院もあります。

産院に確認するだけで「出産前に買わなくてよかった」となるケースもあります。まず産院への問い合わせを一番最初のステップにしておくと、準備の無駄が減ります。

確認のタイミングは、妊婦健診のときに一言聞いてみるのが自然です。「完母を目指しているが、哺乳瓶の貸し出しはありますか」と聞くだけで、産院のスタンスも含めて教えてもらえることが多いです。

母乳が軌道に乗るまでの期間と、その間の備え方

一般的には産後2週間~1ヶ月程度で分泌が安定し始めることが多いですが、個人差が非常に大きいため、産院や助産師の指示に従うことが重要です。産院や助産師の判断によって補足授乳が必要になることがあります。この期間の対応は産院の指示に従うのが最も安心です。

産後すぐは、多くのお母さまが「思ったより母乳が出ない」と感じる時期があります。これは母乳育児の失敗ではなく、分泌が確立されるまでの自然な経過です。

この期間に補足授乳(母乳が足りない分をミルクや搾乳した母乳で補う授乳)が必要になるかどうかは、赤ちゃんの体重増加や授乳の状況を見て、産院や助産師が判断します。

補足授乳が必要かどうかの判断は、記事だけでは行えません。赤ちゃんの体重・尿の回数・授乳の様子などは、産院・小児科・助産師に相談して判断してもらうのが安心です。「足りているかどうか不安」と感じたときは、まず産院に連絡してください。

補足授乳のためにミルクを使う場合、哺乳瓶が必要になります。ただし産院での入院中は産院の設備を使えることが多いため、退院後の状況を見てから購入を判断しても間に合うケースがあります。

「母乳が軌道に乗るまでの備え」として出産前にできることは、産院に補足授乳の方針を確認しておくことです。「補足授乳が必要になった場合、産院でどう対応するか」を事前に聞いておくと、退院後の準備がしやすくなります。

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今買う人・産後に判断する人の分かれ目

搾乳・家族授乳・預け先のいずれかが決まっている場合は出産前に1本備えておくと安心です。どれも未定なら産後に産院の指示を受けてから購入しても遅くありません。

以下の判断表を参考にしてください。

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今買う人・産後に判断する人の分かれ目
状況 おすすめの判断 理由
搾乳して家族に飲ませる予定がある 出産前に1本備える 搾乳後すぐ使える状態にしておくと安心
保育園・一時預かりへ預ける予定がある 出産前に1本備える 練習開始に備えて手元にあると助かる
産院が哺乳瓶を貸し出し・配布してくれる 産後に判断 入院中の使用は産院の設備で対応できる
搾乳・家族授乳・預け先すべて未定 産後に判断 産院の指示を受けてから購入しても遅くない
産院の方針が不明・確認できていない まず産院に確認する 確認後に購入判断しても出産前に間に合う

迷ったときの最有力候補は「1本だけ備えておく」です。複数本そろえるより、まず1本試してから追加するほうが、使わなかったときの無駄が少なくなります。産後に近くのドラッグストアやネット通販で翌日には届く環境が整っているため、出産前に大量に買い込む必要はありません。

出産前に1本備えることに決めた方へ:素材・サイズの選び方

まず素材(ガラス・プラスチック)とサイズの2点を決めると選びやすくなります。新生児期のサイズや乳首の選び方については、メーカーの取扱説明書や産院・助産師の案内をご確認ください。

素材の選び方

哺乳瓶の素材は主に2種類です。

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素材の選び方
素材 向いている場面 気になる点
ガラス製 においが移りにくく、消毒しやすい。新生児期の自宅使用に向く 重さがあるため、外出時や赤ちゃんが自分で持つようになってからは扱いにくいことがある
プラスチック製(PPSU・PP) 軽くて外出時に使いやすい。落としても割れにくい 長期使用で傷がつきやすく、傷の中に汚れが残りやすい場合がある

最初の1本としては、自宅での使用を前提にガラス製を選ぶご家庭が多い印象です。外出が増えてきたらプラスチック製を追加する、という使い分けも自然です。

サイズの選び方

哺乳瓶のサイズ選びは、赤ちゃんの月齢や授乳量によって異なります。メーカーの取扱説明書や産院・助産師の案内を参考に選んでください。

最初から大きいサイズを買っても使えますが、新生児期は小さいサイズのほうが持ちやすく、量の調整もしやすいです。

乳首の選び方

乳首のサイズ(S・M・L)や月齢の目安はメーカーによって異なります。流量が多すぎると赤ちゃんがむせやすくなるため、メーカーの取扱説明書や産院・助産師の案内を参考に選んでください。

乳首の形状は、メーカーによって丸型・母乳実感型など複数あります。赤ちゃんが飲みやすいかどうかは実際に試してみないとわからない部分もあるため、最初は1本で様子を見てから追加を検討するのがおすすめです。

哺乳瓶を嫌がったときはどうする?

哺乳瓶拒否は珍しくなく、乳首の形状や素材を変えると飲めるようになることがあります。困ったときは産院・小児科・助産師に相談するのが安心です。

哺乳瓶拒否が起きる主な理由として、以下が挙げられます。

  • 乳首の形状が赤ちゃんの口に合っていない
  • 乳首の流量(S・M・L)が合っていない
  • 母乳との温度差が気になっている
  • お母さまが授乳しようとすると母乳の匂いで拒否する(別の人が試すと飲めることがある)

乳首のメーカーや形状を変えることで改善するケースがあります。ただし、どの乳首が合うかは赤ちゃんによって異なるため、試行錯誤が必要になることもあります。

哺乳瓶拒否の原因や対処法を深掘りしたい場合は、産院・小児科・助産師への相談を起点にしてください。個別の状況(体重・授乳量・月齢)によって対応が変わるため、記事の情報だけで判断するより、専門家に相談するほうが安心です。

また、ミルクや混合授乳に切り替えることは、授乳方法の失敗ではありません。お母さまと赤ちゃんにとって無理のない授乳スタイルを選ぶことが、長く続けるうえで大切です。

完母予定でも哺乳瓶で迷ったときのよくある質問

Q1. 完母を目指しているが、哺乳瓶は出産前に買っておくべき?

搾乳・家族授乳・預け先のいずれかが決まっている場合は、出産前に1本備えておくと安心です。どれも未定なら、産後に産院の指示を受けてから購入を判断しても遅くありません。まず産院に貸し出し方針を確認するのが最初のステップです。

Q2. 産院が哺乳瓶を貸し出してくれるか、どう確認すればいい?

妊婦健診のときに「完母を目指しているが、入院中に哺乳瓶の貸し出しはありますか」と一言聞いてみるのが自然です。退院時の配布有無も合わせて確認しておくと、出産前の購入判断がしやすくなります。

Q3. 母乳が軌道に乗るまでどのくらいかかる?

一般的には産後2週間~1ヶ月程度で分泌が安定し始めることが多いですが、個人差が非常に大きいため、産院や助産師の指示に従うことが重要です。この期間に補足授乳が必要かどうかは、赤ちゃんの体重増加や授乳の状況を見て産院・助産師が判断します。不安なときは産院に相談するのが最も安心です。

Q4. 哺乳瓶を嫌がる場合、どうすればいい?

乳首の形状・素材・流量を変えると飲めるようになることがあります。お母さま以外の人が試すと飲めるケースもあります。困ったときは産院・小児科・助産師に相談してください。哺乳瓶拒否はよく見られることで、授乳方法を見直すことは失敗ではありません。

Q5. 哺乳瓶は何本用意すればいい?

まず1本から試すのが無駄になりにくいです。搾乳して家族に授乳を頼む予定がある場合でも、最初は1本で様子を見て、必要に応じて追加するほうが合理的です。産後に近くのドラッグストアやネット通販で翌日には届く環境が整っているため、出産前に複数本そろえる必要はありません。

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ABOUT ME
福井 美和子(看護師・保健師)
福井 美和子(ふくい みわこ)/看護師・保健師。 2015年 福岡大学医学部 看護学科卒業、看護師・保健師 国家資格を取得。 2015年〜2018年、福岡大学病院 手術部にて3年間勤務。小児患者を含む急性期医療の臨床現場での看護業務に従事したのち、クリニックでの外来看護を経験。 2021年の第一子出産を機に、乳幼児期における玩具の役割や発達への影響を実体験として認識。玩具の購入コスト・保管の課題、そして「必要な時に必要な分だけ利用できる」というレンタルの仕組みに共感し、医療現場での知見と子育ての実体験の両面から、子どもの成長過程に寄り添った視点で監修・情報発信を行う。 キッズ・ラボラトリーでは、マタニティ・新生児・0歳児の健康・安全・衛生に関する記事を担当。